人間、天使、獣人、悪魔等、様々な種族が入り浸る世界。一つの大きな大陸は、様々な戦火によって混乱が齎さんとされている。
時代的には近代的な物は流行ってはおらず、一部を除き基本的に現代的な武器などは無く、どちらかと言えば中世的な物を思い浮かばせるようなものである。
また、この世界には魔法というものが存在する。炎、水、雷、風、氷、土、光、闇の八つの属性が存在し、そしてそれらの属性を万物のように扱う八人の神がいる。一般的には魔法を使用するが、並大抵の者ではそれを扱うのには個々の才能や遺伝に依るため、全ての属性を扱える者がいれば、一つ、或いは二つの属性を扱える者、何ならば魔法すら使えない者や魔力がない者だっている。また、八神から恩寵として渡される神の力の一片を持つ者を"代行者(ヴァーチャー)"と呼ぶ。
異能力というものも存在するにはするが、それはある意味数が少ない故に、場所によっては異能力者は迫害されることもあるのだとか。
この世界には、異能力を持たない者でも歴戦の猛者になれると言われ、そして八人の神が造った"天具"というものが存在する。その数はいくらあるのかはまだ分からないが、相当な数があるとされている。
用語集
・代行者(ヴァーチャー)
八神の内、一人の神の万物のように扱える属性の力を完全とまでは行かずとも常人よりも遥かに優れた属性の力を操ることが出来る。また、一神につき二人までその"恩寵"を渡すことが出来る。異能力とは異なる。魔力の許容量が0に等しい者でも代行者にはなれる他、自動的に魔力の許容量が特定の属性のみ無限になる。
・天具
八神が造ったとされる、いわば神器のようなもの。異能力を持たぬ者や魔法を使えない者でも、これを持つことで、単独でも兵団を一つ二つ滅ぼすことすら容易いものになる。しかし、それを扱うには使い手の適正によって左右され、最悪の場合これを持つ資格と適正がない者は逆に天具に振り回されるようにして死ぬことも有り得るのだとか。かなりの数があるとされているが、中には八神が造った物以外にも自然としてそれが天具となった物もあるそうだ。また、八神は本来このような戦争に投与する用途で造ったのではないとされている。
そんな一騎当千の力を誇る天具に対抗する術は、同じくして天具かヴァーチャー、異能力所有者で対抗するべしとされている。
・異能力
様々な要因で発現される、魔法とも恩寵とも異なる物。どちらかと言えば天具に近い物。しかし、天具とは違い自分の思うがままに力を行使出来る為、適正などもない。そして、発現した異能力は千差万別。"感情"や"大罪"に因んだ物から、そうでないものまで。また、発現する要因は様々で、代表的な例が先天性、遺伝、何らかの要因による後天的など。しかし、どの異能力でも例外を除き副作用・反動という名のデメリットがある為、扱いには注意が必要とされている。
・風狼 "風の人狼"
風神ガルシアが残した風属性の魔力がこのグラスウィルド草原に伝る地脈に大きく染み付いており、それによるものか、普通の狼とは特別な存在である"風狼"という存在として進化する。風狼は風属性の力を自在に操ることが出来る。また、その中でも更に特別な風狼が、"風の人狼"と呼ばれる物であり、種族的には同じだが、人型になれる上に狼・風狼問わず率いる事が出来るほどに神格化のような傾向があるのだとか。"風狼"は微かな風を感じることでその先に起こることが感覚として分かるようになる他、風属性の影響を受けないし、風属性の力をより強固に操る事が出来るとされている。長く続いた南北草原戦争を終結させた"草原の覇者"ラルファ・トゥルエルトも"風の人狼"である。
・属世の具
法が存在しない半グレ達が持っているとされる魔器。9割7分の半グレが天具や異能力を持たない為、その代わりにその者達のように強い力を、という理由が為に最強の半グレとも言われる存在がこれらを造られた。魔力があってもなくても、その魔器に込められているそれぞれの属世の魔力を行使することで何も持てぬ者にも強大な力を発揮することができる。
・渾沌の黒死帯
戦争によって、その地に蓄積されていく負の念や感情が1種の穢れとして蓄積され、それによって生まれる"何か"のエネルギーが地脈や、特に地脈の結節点等に生じることで綻びが生じ、その一帯がどんどんと周囲を腐敗させる。要は、負による思念によって生み出された"何か"の一端。黒死帯の中心には黒く濁った丸いコアがあり、それは地面に根付くようになっている。そのコアは地脈にある魔力を吸い続けることで成長していき、周囲の腐敗具合とそれに伴うその地帯の色が共通して黒化していく。
黒死帯の核であるコアの成長具合によってレベル付けがされている。
レベル1
"潜在的黒死帯"。そこにある黒く濁った丸いコアは脆弱で、普通の武器でも破壊することが可能、これにより未然に黒死帯となるのを防ぐ。また、周囲が腐敗してないので、間に合う。
レベル2
"通常体黒死帯"。コアが成長し、レベル1のものより多少大きくなっており、その上半径7mは黒化している。コアの破壊が強力な魔法でしか破壊が不可能。
レベル3
"完全体黒死帯"。コアが完全に成長し、一種の魔物と化す。半径20mほど黒化している。コアを破壊する=魔物を倒すということになるが、この魔物自体が、天具や異能力があっても厳しい程に強力で、だからといって放置すると、その魔物が周囲の生命を吸収し、どんどんと大きく、強くなっていくし、黒化も進んでいきその魔物の行動範囲が広がり、被害が生んでしまう。
レベル1とレベル2にも魔物は存在するが、レベル1は魔物というより、そこら辺に生息するモンスターがコアに惹かれ、そこからコアが生命を吸収することで成長速度を速めていることが分かっている。その為、そのモンスター達をその場から払いつつコアを破壊せねばならない。レベル2で出現する低級と中級の魔物は、共通して黒いオーラを纏っており、如何なる攻撃でも、"傷口から謎の魔力が染み込み、そこを中心に身体が壊死を始める"という効果が付与されている。
低級人型魔物"キュルイド"
禍々しい黒い屍のような姿をした魔物。顔は空洞となっており、所々骨や肉が剥き出しになっており、かなりグロテスク。剣、槍、斧、弓、盾などの多様な武器を扱う事が出来る。一体なら差程強くはないが、集団行動を取らせるとそこら辺の軍隊よりも優秀で、かならず"囲む"ことで獲物を殺す。人より少し強めの耐久力だが、何とかなる程度にはなる。
低級虎型魔物"ガルタイガス"
禍々しい黒い虎のような姿をした魔物。全体的にトゲトゲしく、尻尾の尾先が刀身のような形をした刃になっている。爪や刃、牙の威力はどれも岩盤を容易く斬り裂くとされており、その上すばしっこい。一体だけでもそこそこ強めであるが、耐久力はキュルイドよりも低い。
中級人型魔物"ウィルディス"
修道士のような服を身に纏い、禍々しい黒い人のような姿をした魔物。顔はまるで仮面のようなもので無表情。右手には杖を持っている。キュルイドとは違い、こちらは少し知性があるようで、魔法を発動することが出来る。しかし、扱う魔法の属性が不明過ぎるが、それでも定まった物を使ってるだけである。"高威力且つ消し飛ばすほどの力を持つ黒い魔弾を無数発生させ撃ち出す"、"黒く大きな触手を複数出し、それを拘束で動かし様々な方法で攻撃する"の2つ。知性があるからこそ、会話は出来なくないが、この黒死帯の魔物は元より世界を壊さんとする存在。そんなのに対話など求めてはならない。複数のキュルイドとガルタイガスに指示を出す、指揮者のような存在でもある。
超級魔物
レベル3にて出現する魔物であり、成長をし尽くしたコアが一体の魔物へと進化を遂げる物。どの属性にも値しない有害性のある"何か"の属性の魔力がその魔物から放出されており、それに充てられると体調不良と疲労を感じ、次第には昏睡状態に陥ってしまう。共通しているのは、低級中級よりも禍々しく深い黒のオーラを纏っていることと、"傷口から謎の魔力が染み込み、そこを中心に身体が壊死を始める"の効果、それに加え"如何なる属性攻撃でも効かない"という物。つまり対処する方法は異能力か天具、恩寵や龍印のみである。それでも耐久力は非常に高く、一筋縄では行かない。
超級騎士型魔物"カオスブリンガ"
深い灰色の大剣を担ぎ、黒鎧に身を閉じ黒い瘴気を纏う騎士のような姿をした3m級の巨大な魔物。顔の部分が空洞となっている。また、その胸には幾本の剣が刀身を刺さっているように現している。魔物が振るう剣技は、正しく世界最大の剣聖と同じぐらいに長けていると言っても過言ではなく、たった一騎で、高速で、次々と敵を斬り捨てていく。その大剣の斬れ味は、普通の物よりも遥かに良い物であり、相当硬い物でない限り防ぐことは出来ない。腹に刺さっている剣達が抜けると、大剣を振るうと同時にそれに追撃を為すように斬撃がそれぞれ繰り出される。しかし威力は大剣での斬撃の威力の2分の1。また、一度食らった攻撃に対する耐性を獲得し、相手の状態・性質に合わせて、より有効な攻撃を見舞えるように変化する。尚、ダメージはゼロにならないため、反応できない攻撃や、ゼロ距離攻撃等は有効である。この魔物が黒死帯として根城にしている場所は大陸の最南端にある、封鎖されているヴァルリアラ大瀑布全域。風景もずっと灰色で、水も汚染されたかのように黒色になっている。その黒死帯は少し特殊で、キュルイドが自動で出現し、全員剣を持っている。
超級魔道士型魔物"カオスアビソス"
深い灰色の魔道士のような衣を身に纏い、その背後には八つのクリスタルのような物が浮かんでいる2m級の魔物。頭に三本の物々しい角のような物が生えており、その上顔は空洞。何よりも、腕が四本ある。八つの属性全てを駆使した魔術を活用して戦う。その魔術はどれも未知であり、尚且つ広範囲超高威力。また、広がっている黒死帯の中に限るが瞬間移動をすることができる。連続も可能。そして、何よりもこの魔物は、キュルイドとガルタイガスを数制限無く召喚することができる。しかも、少し強化されている状態でである。この魔物が黒死帯として根城にしている場所はジルクストルフ廃帝国の城。侵攻され淘汰された廃れた帝国が、城だけ綺麗に残されている。しかも、その城とその周囲のみが黒死帯となっている。それでも、廃帝国にある黒死帯は少しずつ大きくなっている訳だが。
超級狼型魔物"カオスウルフ"
黒と灰色が混じりあったような色をし、目と鼻がないように空洞で、牙を剥いた凶暴な顔つきの大きな犬で、背中の毛が荒々しく逆立っている2m級の魔物。この魔物の爪は、恩寵や天具以外の物全てを斬り裂く物。異能力で作り出した物ですら破壊を織り成すものとなっている。その上爪の威力もかなり高い。何よりも、そんな長けているのは攻撃力だけではなく、機動力であり、常人ではただ蹂躙されてしまうほど一瞬の出来事にもなってしまう。二足歩行と四足歩行を使い分けており、後足で立ち上がって前足の爪で攻撃する様は最早狼男である。また、その素早さから残像を出し、まるで分身しているかのような動きもできる。この魔物が黒死帯として根城にしている場所は、グラスウィルド草原のどこかにある。特にグラスウィルド草原は黒死帯が多い為、その場所の特定が難しいとされる。
魔法について
自然界にある炎や水と言った属性と世界のバランスを保つ為の地脈に流れている魔力の二つを媒介に魔法を発動させる。魔力を多く持っている、というよりかはそれぞれの肉体にどれだけの魔力を許容できるかによって、扱える属性や魔法の威力・範囲などが異なる。また、魔法の媒介としている魔力を本や武器に込めることで魔道書や魔法剣などと言った特殊な武器を作ることも出来る。しかし、そう言った特殊な武器を作る際に気をつけなければならないことは、物体は肉体とは違い、魔力の許容量が無制限であること。つまりは、いくらでも込めることが出来てしまう。そうすることで何が起きるかと言うと、下手をすれば魔力を流す地脈が破壊してしまったり、自然界のバランスが崩壊するなどと言った、世界が壊れてしまう危険性を孕んでしまう可能性があるとされる。神々はこれを"災厄の終末"と呼んでおり、それを実現させてしまうものを"終末魔法"と呼ぶものがある。現在これらの魔法は存在していないとされているが、真実かどうかはまだ明かされていない。もしかしたら、存在しているのかもしれない。こういった世界が壊れてしまうことがないように、それぞれの八つの属性を個々に持つ神々が存在しており、自然界のバランスだけではなく、地脈の補強や属性による均等的なバランスを保つ役割を持っているのだとか。